平成22年1月27日、県庁4階の静かな部屋に整列して、知事から一人づつ賞状を手渡されます。こんな体験は、たぶん卒業式以来のこと。知事と目が合ってなにやら照れ笑いの瞬間を撮られてしまいました。 実は谷本正憲知事とは、ふる~い因縁があります。現在のいしかわ動物園が金沢市卯辰山で民間のサニーランドと呼ばれていた頃、閉園に伴う動物の処分発言から全国署名運動が巻き起こりました。当時の動物園は斜陽のレジャーランドと言ったところ。サニーランドはヘルスセンターに見世物小屋同然の狭い飼育舎が併設された老朽施設でした。動物が殺されたら石川県の子どもたちはキリンを見られなくなる、という理由で存続を請願する運動から、オーナー企業を支援する署名など、さまざまな動きの中で、私たちは「動物園のあるべき姿を考えながら、動物たちの行く末を見守る活動」を行なっていました。当時、谷本氏は副知事の立場で、そんな喧騒を見ておられたのでしょう。 今でも、事あるごとに「この人は県に動物園を引き受けろって言ったんだよ」と冗談まじりににおっしゃいます。こちらも負けずに「でも、よかったでしょ?トキを迎えられたんだし」と切り返します。生物多様性を学ぶ環境教育施設として、また種の保存を図る箱舟として、動物園に課せられた役割はこれから、ますます大きくなっていくことでしょう。昨年の冬、メンバー研修を兼ねて久しぶりに動物園を訪ねました。10年目を迎え、今も進化し続けるいしかわ動物園を見て、動物園の持つ資源と私達のプログラムを結びつける活動にチャレンジしてみたいと思い始めています。 いただいた表彰を励みに、これからも市民発の環境教育活動を積み重ねながら、世の中の流れを少しづつ変えていければと思っています。どうぞ変わらぬご支援ご指導をよろしくお願いいたします。(青海万里子)