みずすまし屋 誕生まで① みずすまし屋の基本コンセプトは、10年ほど前に金沢市の主催するリサイクル・フェアの中から生まれました。市民参加で企画・運営していた実行委員会で「環境のイベントなのにこんなにごみが出るなんて」と声が上がり、スタッフの食器持参を申し合わせました。でも忘れる人もいるだろうし、と金沢エコライフくらぶの前身である金沢エコライフ事業実行委員会から、家庭で不要になったコーヒーカップ、どんぶり、カレー皿などの寄付を新聞で呼びかけたところ、た くさんの食器が寄せられました。それらの食器を種類別にケースに収め、その後も少しづつ整備して、いまも文化祭の模擬店や屋外イベントなどにレンタル食器として貸し出しています。 翌年から従来は裏手にあったスタッフのまかない場、食器洗い場をメイン会場に移し、設営業者さんの協力で舞台上にシンクを設置し、透明な水槽を階段状に並べて排水が見えるようにしてもらいました。この装置は来場者の関心も高く、水槽の周りは常に人だかりで「排水なんてふだんは見たことないないものね」「私も洗ってもいい?」と好反響。ついに会場内の使い捨て食器を一掃し、食器を洗いまわすイベントエコ化の基本形ができ上がったのでした。  
みずすまし屋 誕生まで②
好評を博した食器洗い場でしたが、毎回設営する形態では、お問合せいただいてもあきらめてもらうしかありませんでした。2年前から今までに作ってきた体験型の環境教育プログラムをブラッシュアップしていこうと「めぐる環境教育研究会」をスタートさせました。新メンバーも参加して新たな目で意見交換していくなかで「食器洗い場を軽トラックに載せられるようにしたらどこへでも行けるのに」という声が上がりました。「そりゃあいいね」と盛り上がっているところに、トイレのメーカーTOTOが「水環境基金」を創設して助成の募集をする、という情報が「i-ねっと」から入りました。水処理設計のプロの協力も得て企画書を書き上げて応募、北九州からの訪問インタビューを経て、晴れて第1回目の助成を受けて作ったのが、軽トラック搭載型食器洗い場&排水浄化装置「みずすまし屋」なのです。

 

上の画像は夕日寺自然園で開催された自然学校まつりでのようすです。山頂の会場のため水圧が低く、トイレを使うと水が出なくなります。そこで水タンクのコックから出る水で洗うようにしたところ節水効果の高い洗い方ができ、排水浄化もトラック上の原水槽と下右側の水槽の透明度を比較して、目で見てはっきりわかる効果が得られました。濾材は東部リサイクルプラザに市民のみなさんが持ち込む古着を活用しています。第1水槽は厚手の布、第二水槽は薄手の布を敷き込んでいます。第3水槽は砂、第4水槽は活性炭の隙間を汚水が通っていく急速濾過による浄化です。みずすまし屋での体験が、ふだん気づかない水と暮らしの関わりを見直すきっかけになるよう、これからもいろいろな仕掛けを盛り込んで出前していきたいと思っています。